遺産整理実践事例の紹介

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3.相続人の確定が困難な場合のお手伝い

I.ポイント

従来不動産登記については司法書士に取次いでいて、その他の財産の名義変更については一切行わなかった。会計事務所が相談を受けたが、各機関の対応がまちまちで大変な日数を要した。一つ一つ問題を解決して納税者に感謝された。

II.事案の概要
被相続人89歳 H18年11月相続開始
相続人甥・姪 17人(住所は6県に分散)
他に死亡した甥・姪11人
相続人代表甥 88歳
主な財産
土地 田畑、宅地、雑種地
19筆
16,700万円
家屋 居宅、貸家
19棟
1,900万円
有価証券 公社債投信他
1社
169万円
預金 銀行、郵便局、農協
4社
2,530万円
現金    
20万円
 計    
21,319万円
III.被相続人の環境

被相続人は子供がなく、妻(H15年9月死亡)に先立たれ一人暮らしであった。近所に甥(長姉の長男)がおり、なにかと世話になっていた。

貸家が15棟あり、地代収入と合わせ月65万円の収入があった。貸家貸地は不動産業者が管理していた。妻に先立たれてからは認知症となり、ホームヘルパーさんの世話になっていた。

死亡する3年前から有料の老人ホームに入所し、そこで死亡した。

IV.相続人の確定

被相続人の父(慶応5年生)の原戸籍を取ったが、兄弟全員の名が出てこないので、前戸主の祖母(天保13年生)の原戸籍を取ったところ、兄弟姉妹全員が出てきた。同一町内に本籍があった2姉妹の6相続人の戸籍を取る。これは「戸籍謄本等職務上請求書」で取れたが、役所の窓口では半日を要した。

4姉妹の謄本は甥・姪にそれぞれに取ってもらうことにした。すでに死亡している甥・姪については、当事務所で郵便小為替を所轄の役場へ送り謄本請求依頼をした。

V.財産調査
  1. 1.委任状により、役場で名寄帳を取得。
  2. 2. 預貯金の残高証明は各行さまざまで、相続人代表が謄本を持参して行かなければならないため、これは88歳の甥と同行した。
    所定用紙を事前に取得して記入し、当日押印してもらい提出した。銀行によっては後日の来行の指示、また郵便局の場合は郵送してくれた。
VI.相続人への説明

七七忌の法事の案内を事務所で作成し、各自戸籍謄本を持参するよう依頼文を同封する。住所を確定するのが大変で一部は住所地不在で戻ってきた。

民法と相続税法から把握している財産について依頼者と相談し、土地は役場に寄付するとかいろいろな意見が出たが、相続人代表は高齢のため相続を辞退することになった。

VII.遺産分割の話し合い

百ヶ日法要に行われた。案内文の作成、場所の交渉、発送等も会計事務所が行う。

もめることが予想されたので、事前に不動産業者に情報をもらい、道路が狭いので土地の買い手がないとか、町は最近管理の関係で寄付は受け取らない等の説明をし、もし土地を分割し宅地を更地にして売却したら「思い出」までもなくなるから、ご先祖様はそれを望むだろうか、墓守は誰がするのか等の話し合いがなされ、土地建物を相続人代表が相続し、現預金を法定相続分で分割する案を提案して了承される。

VIII.遺産分割協議書の作成と押印

協議開催案内文の作成及び会場の手配をお手伝いし、遺産分割協議書、相続税申告書、相続預金払戻依頼書(各行名称異なる)に自署押印をしてもらう。割印のあるなし、ホチキスで止めるか止めないか等、各行ルールがバラバラなので事前に確認の必要あり。

IX.預金解約手続きのお手伝い

相続預金払戻依頼書と戸籍謄本、印鑑証明書等を持参した。

郵便局では、被相続人の父母の婚姻の日がわからないからと、前戸主の戸籍を要求される。役場に行き交付依頼をしたが無いとの事。「無い証明をください」と要求すると窓口ではわからず、やっと保存期間が経過したので廃棄済みである証明書を出してもらう。

謄本が多いから各行本店に送り、調べるので、後日また来るようにとのこと。

証券会社では、2姉妹についての生まれたときからの原戸籍が一部不足とのことで要求された。結婚して住所が変わるたびに本籍を移動していたので、全部を要求された。
所轄の役場へ郵便小為替と返信用封筒を入れて郵送し、謄本請求依頼をした。

X.不動産登記

不動産登記は司法書士に依頼された。

  1. 1.戸籍が一部ない方がいるので、分割協議書の相続人以外相続人のいないことを上申書にして登記所に提出した。
  2. 2.被相続人の父の戸籍に結婚相手の姓が違っていたので市役所で直してもらう。直すのに1ヶ月位かかった。
  3. 3.登記事項要約書を取得すると所有者名が「○次」が「○治」となっており、「○治」不在籍証明及び不在住証明を役場で発行してもらい提出したため、多少費用もかかった。
  4. 4.戸籍謄本が多いので、登記官から司法書士に、出頭して説明してもらいたい旨の依頼があった。
XI.預金の分割

預金を相続人代表の名義で一ヶ所に集中したので、葬儀費用、事務所の手数料等の差引残高を分割協議書により振込んだ。

XII.その他の変更届
  1. 1.未登記家屋所有者名義人変更願
  2. これは旧所有者と新所有者を記入押印して役場に提出する。
  3. 2.水利組合員資格異動届
  4. 現資格者と新資格者を記入押印して郵送する。
  5. 3.電話会社と電力会社の電柱の土地使用料の所有者変更届
  6. 会社に電話して、用紙を送ってもらい郵送する。
  7. 4.不動産の賃借料振込口座の変更
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