遺産整理実践事例の紹介

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1.はじめに

相続が開始するとそのときから、被相続人の財産に属した一切の権利義務を包括的に相続人が継承します。相続人が複数の場合においては、相続財産は共同相続人全員の共有となります。

被相続人の遺言による指定がない場合には、共同相続人全員の協議で分割を行います。全員の参加と同意が必要で、一部の相続人を除外し、或いはその意思を無視した分割協議は無効となります。遺産の分割は、遺産の暫定的な共有状態における権利を解消するために行われるものです。

相続税の申告を必要としない場合でも、共同相続人全員の共有の財産とされる遺産については、遺産分割協議などによって相続人の財産とする手続きが必要となります。そのため、財産目録の作成は不可欠です。相続税の申告と同様に固定資産税の課税台帳や預金の取引明細などからすべての遺産の洗い出しが必要となります。

また、遺産分割についても、民法の規定に準拠して分割協議が共同相続人間でスムーズに運ぶよう専門家の力を借りることも重要と考えます。民法では、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して行うよう定めています。「年齢」は年少者を、「心身の状態」は心身障害者等を、「生活の状況」は生存配偶者の居住権などをそれぞれ主として配慮しての定めだといわれています。しかし、分割協議においては、民法の規定する分割の基本に準拠することが望ましいのですが、結果的にどのような分割になっても意見の一致を得たものでさえあれば、遺産分割協議は有効とされます。

仮に、相続税の申告義務がない場合であっても、財産目録の作成から遺産分割協議や遺産整理業務が伴い、民法や税法等に関する専門的な知識が要求されることに変わりありません。また、相続税の申告を税理士が受託している場合においても、遺産整理に関しては相続人任せとなっており、最後まで手厚いフォローができていないのが現状です。

そこで、TKC資産対策研究会の財産承継アドバイザーが取組む遺産整理業務では、相続税の申告の要否にかかわらず、税務や民法の知識を活かしながら、弁護士、司法書士、不動産鑑定士などの専門家と協力し、相続人の確定・遺産の調査、財産目録を作成したうえで、遺産分割に係る税務上の有利不利などのアドバイスや、遺産の名義書換え及び遺産の有効活用を目的とした資産の組換えなどワンストップ・サービスを行う体制を構築しています。

そこで、TKC財産承継アドバイザーによる遺産整理のお手伝いの事例を紹介します。

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