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生前贈与を活用した対策
Q6.相続対策には生前贈与が効果的と聞きましたが、生前贈与の効果的な活用法について教えてください。
< ポイント >
相続税の課税が逃れない人は、贈与税の基礎控除額以上の贈与を着実に毎年実行するようにします。
A6.生前贈与による相続税対策は、数ある節税対策の中でも最もオーソドックスな対策といえます。一回あたりの節税効果は小さいものの、毎年繰り返して実行すればその効果は蓄積され大きなものとなります。
この対策は、(1)比較的簡単に実行に移せる、(2)税制改正などの影響も受けにくいなどローリスクである、(3)専門家を必ずしも必要としないのでローコストであるなどの理由で多くの人が生前贈与による対策を実行しています。
しかし、毎年110万円(贈与税の基礎控除額以内)の贈与を実行している人がいますが、これは相続税対策としての贈与としては不十分といえます。110万円以内の贈与は、将来相続税が課税されない人が行う対策であって、相続税から逃れられない資産家の人は最低でも310万円以上の贈与を実行すべきです。これは、贈与額が310万円以下であれば、贈与税が最低の10%の適用税率の範囲以内での贈与となり、相続税の最低税率も10%であり、贈与税は20万円課税されることとなりますが、軽い贈与税負担で多くの財産を生前に移転することが可能となります。また、470万円を贈与すると47万円の贈与税が課せられますが、贈与した金額に対して10%の税負担で済みます。
なお、平成15年度税制改正で創設された「相続時精算課税制度」を選択する場合には、65歳以上の親から20歳以上の子に対する贈与は、2,500万円までの部分については贈与税が課されないこととなりましたが、当該贈与を受けた財産は、被相続人の相続財産に加算して相続税が課税されることとなりますので、相続税対策にはあまり効果が期待できません。
(出典 税理士法人FP総合研究所)
土地有効活用による3つの税効果
I 土地・建物の固定資産税が軽減される
(1)土地の固定資産税が軽減される
固定資産税は、毎年1月1日(賦課期日)現在、市町村の固定資産課税台帳に土地、家屋または償却資産の所有者として登録されている者に対して課税される税金です。
税額は次の算式によって計算されますが、都市計画法による都市計画区域のうち、原則として市街化区域内に所在する土地や家屋に対しては、別に都市計画税が課税され、固定資産税と併せて徴収されることになっています。
課税標準(固定資産課税台帳の登録価格)×1.4%(標準税率)=固定資産税
課税標準(固定資産課税台帳の登録価格)×0.3%(制限税率)=都市計画税
●住宅用地に対する課税標準の特例
住宅用地については、税負担を軽減するため、住宅用地の価格(固定資産税評価額)に次表の特例率を乗じて課税標準を求めます。この場合、住宅と土地の所有者が異なっていてもかまいません。
| 区分 | 固定資産税の課税標準 | 都市計画税の課税標準 |
|---|---|---|
| 小規模住宅用地 | 評価額×1/6 | 評価額×1/3 |
| 一般の住宅用地 | 評価額×1/3 | 評価額×2/3 |
(注1)小規模住宅用地・・・住宅の敷地で住宅1戸について200uまでの土地をいいます。
一般住宅用地・・・住宅の敷地で住宅1戸について200uを超え、住宅の床面積の10倍までの土地をいいます。なお、10倍を超える部分の土地については、住宅用地の特例はありません。
なお、家屋が専用住宅でなく店舗併用住宅等の場合は、家屋の敷地面積に次表の住宅用地の率を乗じて住宅用地の範囲を求めます。
| 家屋 | 居住部分の割合 | 住宅用地の率 |
|---|---|---|
| (A)専用住宅 | 全部 | 1.0 |
| (B)(C)以外の併用住宅 | 4分の1以上2分の1未満 | 0.5 |
| 2分の1以上 | 1.0 | |
| 物である併用住宅 | 2分の1以上4分の3未満 | 0.75 |
| 4分の3以上 | 1.0 |
●ここがポイント
- (1)駐車場用地にアパート・マンションを建築すると、アパート・マンションはその1戸を1住宅と判定されますので、仮に12戸の賃貸マンションを1,500uの土地の上に建てた場合には、12戸×200u=2,400u>1,500uですから敷地全体の固定資産税評価額が1/6の価格となります。ただし、この場合、敷地が2,400uを超えている部分については固定資産税評価額が1/3の価格となります。
- (2)遊休地に対する固定資産税等は、税金計算上必要経費や取得費になりません。
- 土地の固定資産税や都市計画税は軽減されることになりますが、新たにアパート・マンションの固定資産税が発生します。
(3)家屋の不動産取得税や固定資産税等の軽減を受けるための床面積要件に注意する
アパート・マンションを建築した場合、その一室あたりの部屋の広さ(床面積)により不動産取得税、固定資産税の軽減を受けることができます。この場合の床面積とは、登記簿上の床面積(区分所有建物の場合、共用部分の面積を含める)を基準に各部屋あたりの床面積を算定したものを指しています。
| 税目及び特例 | 床面積 | 減額の内容 | |
|---|---|---|---|
| 不動産取得税 | 新築住宅 | 50u以上240u以下(貸家共同住宅:40u以上240u以下) | 住宅1戸当たりの控除額1,200万円(住宅の価格−1,200万円)×3%=住宅の税額 |
| 既存住宅 | 50u以上240u以下(貸家住宅:適用なし) | 住宅の価格から一定額を控除した額が課税標準とされる | |
| 固定資産税 | 新築住宅に対する特例 | 50u以上280u以下(貸家の用に供するものについては40u以上280u以下) | 1戸当り120uまでの住宅部分に相当する固定資産税額の1/2が3年度分(3階以上の耐火・準耐火建築物は5年度分)減額 |
| 特定市街化区域農地の上に中高層耐火建築物である貸家住宅の新築に係る特例 | 60u(戸建以外は50u)以上200u以下 | 1戸当り100uまでの住宅部分の固定資産税額について、次の割合が減額される。
|
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●ここがポイント
特にワンルームタイプ(1K、1DK)の賃貸住宅等を建築される場合には、上記に掲げる床面積の要件に該当するか否かにより、不動産取得税及び固定資産税の額が大きく異なってきますので注意が必要です。
II 相続税の軽減効果が期待できる
(1)土地の相続税評価額が下がる
相続税法上、路線価は公示価格の80%程度とされていますが、相続財産のうちに土地等の占める割合が多い人にとっては、土地等の価額そのものが高額ですので大変な税負担になります。しかし、土地等はその利用状況によりさらに評価減を受けることができます。
例えば、所有土地の上にアパート・マンションを建築すると相続税評価の上で、その敷地の利用区分が更地(自用地)から貸家建付地に変わり、更地の場合より20%〜30%程度相続税評価額の引下げを図ることができます。宅地などは更地での評価額そのものが高額ですから評価減による減額金額も大きく、課税価格の引下げに効果的です。
なお、建築対象予定地が広大地に該当する場合は、賃貸マンションの建築により広大地評価から貸家建付地として評価することになると、当該土地の相続税評価額がアップすることも予想されますので、注意が必要です。

●ここがポイント
(1)広大地の評価
「広大地とは、その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地で、開発行為を行おうとした場合に道路や公園等の公共公益的施設用地の負担が必要な土地をいう」とされています。また、既に開発行為を了しているマンションなどの敷地用地や現に宅地として有効利用されている建築物の敷地用地などについては、既に開発を了していることから、標準的な地積に比して広大であっても「広大地」には該当しないとされています。
しかし、既に開発行為を了しているマンションなどの敷地用地や現に宅地として有効利用されている建築物の敷地用地などは3階建て以上の建物をいい、2階建てまでの建物(たとえば、アパート)の場合、たとえ開発して建築された直後であっても、その他一定の要件を満たすときは「広大地」適用の対象となります。
(2)小規模宅地等の特例の適用
遊休地のままでは、小規模宅地等の特例を受けることができませんが、アパート・マンションを建築後は、小規模宅地等の特例(200uまでの部分について50%減額)の適用を選択することが可能となります。
(3)建物の評価差額が発生する
建物の相続税評価額は固定資産税評価額に相当する金額で評価されます。また、貸家についてはさらに借家権(30%)の割合を控除します。 固定資産税評価額は建物の建築価額の5〜6割程度の評価額が目安となりますので、例えば建築価額1億円の賃貸住宅を新築すると、相続税評価額は借家権割合を控除して約4,000万円程度となり、6,000万円程度の評価差額が期待できます。

<図解>

●ここがポイント…借入金があるから相続税が安くなるのでなはい
アパート・マンション建築による相続税の軽減効果はアパート・マンションの建築価格と相続税評価額との開差を活用することにより生じます。そのため、アパート・マンション建築資金について自己資金で賄っても借入金によっても相続税の軽減効果は同じです。
例えば、5,000万円を借入れて5,000万円でアパート・マンションを建築した場合、相続税の計算においては、5,000万円の借入金は5,000万円のマイナス財産として評価されますが、アパート・マンションは約2,000万円程度に評価され、時価ベースでは正味財産の増減はないものの、相続税評価額ベースでは3,000万円正味財産が減少し、結果として相続税額が軽減されることとなります。
これを自己資金で行った場合には、5,000万円の現預金が減少し、相続税評価額2,000万円のアパート・マンションが増加することになり、借入金で行った場合と同様に相続税の節税効果が期待できます。
| 時価 | 相続税評価額 | |
|---|---|---|
| 土地(自用地) | 100 | 80 |
| 土地(貸家建付地) | 100 | 65 |
| 建物(自用) | 100 | 60 |
| 建物(貸家) | 100 | 40 |
| 現預金 | 100 | 100 |
| 借入金 | 100 | △100 |
III 消費税の還付を受けることができるケースもある
土地活用や相続対策を目的にアパート・マンションを建築する場合を多く見受けます。住宅の家賃は消費税法では「非課税」となるため、非課税売上に対応するアパート・マンションに係る消費税は「個別対応方式」によると仕入税額控除ができません。すなわち、アパート・マンションに係る消費税の還付を受けられないということです。
しかし、「一括比例配分方式」によると、アパート・マンションに係る消費税の還付を受けることができるケースがあります。
この適用を受け消費税の還付をうけるためには、「課税事業者」で、かつ、「一般課税(本則課税とも呼ばれています)」であることが必須条件となるため、アパート・マンションを建築したときに免税事業者となる人は、原則として当該アパート・マンションを建築する日の属する課税期間の開始前までに「消費税課税事業者選択届出書」を所轄の税務署に提出することが必要です。また、過去に簡易課税制度を選択している場合には、簡易課税制度をやめる旨の届出書(「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」)もあわせて提出しなければなりません。
これらの届出書は新たな課税期間の開始する日の前日までに提出する必要があることから、届出が遅れると消費税の還付を受けることはできなくなりますので、注意が必要です。
これらの手続きは、事業者が事業活動を通じて預った消費税(仮受消費税)と支払った消費税(仮払消費税)の差額の精算であり、結果として仮払消費税のうち仕入税額控除を受けることができる金額が仮受消費税を上回ることから消費税の還付を受けることになるものです。還付を受けるための各種届出書の提出に遅れると消費税の還付を受けることができず、「損税」が生ずることになりますので早めの対応が不可欠です。
≪一括比例配分方式による消費税の還付の仕組み≫

従来より駐車場経営を行っている個人事業者が、新たに遊休地に賃貸マンションを建築しました。
- (1)平成20年3月1日賃貸マンション完成
- (2)建築価格(消費税抜き額) 150,000,000円
- (3)1か月のマンション賃貸料(非課税売上) 500,000円
- (4)1か月の管理費用 (消費税抜き額) 40,000円
- (5)基準期間(平成18年)の課税売上高(駐車場) 1,200,000円
- 月額100,000円(平成20年以降も同額)とします。
- (6)その他 経費等の支払いはないものとし、簡易課税制度は選択していないものとします。
賃貸マンション取得年(平成20年)の消費税
【対応策1】 課税期間の開始前(平成19年12月31日まで)に「消費税課税事業者選択届出書」を提出し(平成20年から課税事業者)、仕入控除税額の計算において一括比例配分方式を選択した場合
- (1)課税売上高(駐車場売上H20年1〜12月)10万円×12か月=1,200,000円
- (2)課税売上高に係る消費税額 1,200,000円×4%=48,000円
- (3)非課税売上高(マンションの賃貸料H20年3〜12月)
- 500,000円×10か月=5,000,000円
- (4)仕入控除税額
- (イ)マンション建築に係る消費税 150,000,000円×4%=6,000,000円
- (ロ)マンション管理費に係る消費税 40,000円×10か月×4%=16,000円
- (ハ)(イ)+(ロ)=6,016,000円
- (ニ) 6,016,000円×(注)=1,164,387円
- (注)課税売上割合= (1) ÷{ (1) + (3) }
- =1,200,000円÷(1,200,000円+5,000,000円)
- =0.1935…<0.95 全額は控除できません(一部控除)
- (5)還付税額
- 消費税 48,000円−1,164,387円=△1,116,387円
- 地方消費税 △1,116,387円×25%=△279,096円
- 合 計 1,395,483円(還付)
●ここがポイント
(1)課税事業者となるためには、基準期間(設例の場合は18年)の課税売上高が1,000万円を超える場合には、自動判定で課税事業者となることができます。しかし、自動判定では課税事業者とならない設例の場合には、「消費税課税事業者選択届出書」を一定の提出期限内に提出すれば、課税事業者となることができます。課税事業者を選択した場合、最低2年以上の期間、その適用を受けなければなりませんので、原則として2年間は消費税の確定申告書の提出が必要です。
(2)過去に簡易課税制度を選択している場合には、その後の課税期間において、課税事業者から免税事業者になったとしても、「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出しない限り、簡易課税制度を選択した効果はそのままですので、課税事業者となっても控除する消費税額は、みなし仕入率(不動産賃貸業の者は50%)によって計算することとされていて、消費税の還付を受けることはできません。
消費税の還付を受けようとする時は、過去に「消費税簡易課税制度選択届出書」が提出されていないかどうかの確認が不可欠です。
【対応策2】 課税期間開始前(平成19年12月31日まで)に「消費税課税事業者選択届出書」及び「消費税課税期間特例選択・変更届出書」を提出し(平成20年から課税事業者となり、課税期間を3か月に短縮)、仕入税額控除の計算において一括比例配分方式を選択した場合
- (1)課税売上高(駐車場売上H20年1〜3月分) 10万円×3か月=300,000円
- (2)課税売上高に係る消費税額 300,000円×4%=12,000円
- (3)非課税売上高(マンション家賃H20年3月のみ) 500,000円
- (4)仕入控除税額
- (イ)マンション建築に係る消費税 150,000,000円×4%=6,000,000円
- (ロ)マンション管理費に係る消費税 40,000円×1か月×4%=1,600円
- (ハ)(イ)+(ロ)=6,001,600円
- (ニ)6,001,600円×(注)=2,250,600円
- (注)課税売上割合= (1) ÷{ (1) + (3) }
- =300,000円÷(300,000円+500,000円)=0.375
- (5)還付税額
- 消費税 12,000円−2,250,600円=△2,238,600円
- 地方消費税 △2,238,600円×25%=△559,650円
- 合 計 2,798,250円(還付)
●ここがポイント
消費税の課税期間(計算期間)は、原則として暦年(1年)で計算することとされていますが、「消費税課税期間特例選択・変更届出書」を提出することで、課税期間を1か月、又は3か月のいずれかを選択することが可能となります。設例のように、3か月の課税期間を選択すると、個人事業者は、1〜3月、4〜6月、7〜9月、及び10〜12月に課税期間が区分されます。そのため、課税期間の短縮を受けることにより課税売上割合が高まるケースでは控除される消費税の額も増加します。また、消費税の確定申告書提出期限が設例の場合には5月31日となりますので、還付も早期に受けることができます。
以後は3か月毎に消費税の申告・納付をすることになります。
(出典 税理士法人FP総合研究所)
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